
調査依頼の背景
青葉区たまプラーザ在住の山田聡美さん(仮名、32歳・広告代理店勤務)は、交際中の男性との結婚を前に、どうしても拭えない違和感を抱いていました。
「半年前から付き合っている彼からプロポーズを受けたんですが、何となく話が現実離れしていて…本当にこの人を信じて良いのか分からないんです」
聡美さんが語る婚約者は、鈴木雅彦さん(仮名、42歳)という男性でした。二人の出会いは横浜駅西口のビアガーデンで開催された異業種交流会で、雅彦さんは自らを「不動産業を営む資産家」と紹介し、聡美さんに積極的にアプローチしてきたそうです。
雅彦さんとのデートは確かに豪華でした。聡美さんの趣味がクラシック音楽ということを知ると、みなとみらいホールでのコンサートチケットを手配し、その後は聡美さんが以前から興味を示していたワインバーでの食事という流れを作ってくれました。プレゼントも聡美さんが好むシンプルなデザインのTiffanyのアクセサリーやCHANELの香水など、彼女の好みを細かく把握したものばかりでした。外車のBMWで迎えに来て、「お金のことは気にしなくていい」が口癖でした。
しかし、聡美さんが違和感を覚えたのは雅彦さんの生活パターンでした。会えるのは決まって平日の夜遅くか、平日の昼間だけで、「不動産の仕事は夜が忙しい」「土日は重要な会議がある」と言っているものの、週末になると連絡が全く取れなくなることが多くありました。
さらに気になったのは、雅彦さんの住居についてでした。「港北ニュータウンの高級マンションに住んでいる」と聞いていましたが、実際に行ったことは一度もありません。「まだ内装工事中で」「近所の目もあるから」といった理由で、いつも聡美さんの自宅近くまでの送迎に留まっていました。
また、雅彦さんが自分の携帯電話番号以外の連絡先を一切教えないことも不審でした。「会社の電話は秘書が出るから」「自宅は工事で電話が使えない」といった説明をしていましたが、現代においてこれらの説明は不自然すぎました。
これらの違和感が重なった時、聡美さんの心の中に「もしかして彼が既婚者で、私を騙しているのではないか」という疑念が芽生えました。半年間の交際で積み重ねてきた信頼関係を疑うことに大きな抵抗がありましたが、結婚という人生の重要な決断を前に、真実を確認する必要があると判断し、当探偵事務所への相談を決意されました。

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調査開始:港北ニュータウンでの第一の発見
マンションに存在しない住人
聡美さんからの依頼を受けて、まず雅彦さんが住んでいると称する港北ニュータウンのマンションの実地調査を開始しました。対象となったのは、センター北駅から徒歩5分の位置にある築10年の高級マンション「グランドメゾン港北」(仮名)でした。
エントランスの郵便受けを確認したところ、雅彦さんの名前はどこにも見当たりませんでした。聡美さんが教えられていた「1205号室」の表札には「佐々木」という名字が記載されていました。管理人の方には、宅配の件で軽くお話を伺いましたが、直接的な住人情報は得られませんでした。ただし、表札確認だけでも住所詐称は明らかでした。
この時点で、雅彦さんの話の第一の矛盾が明らかになりました。私たちの間では「住所詐称は氷山の一角」という言葉があります。住所について嘘をつく人は、往々にして他の重要な事実についても虚偽を述べているものです。
車両ナンバーから見えた実態
聡美さんから聞いていた雅彦さんの愛車BMWのナンバーを元に、車両の詳細調査も行いました。探偵業務で利用可能なデータ調査により、この車両は3年前に中古車として購入されており、現在の所有者は鈴木美奈子さん(仮名、45歳)という女性名義であることが判明しました。
住所は川崎市川崎区の一戸建て住宅となっており、雅彦さんが主張していた港北ニュータウンのマンションとは全く異なる場所でした。おそらく美奈子さんが雅彦さんの妻で、夫婦で使用している車両だと推測されました。
調査の実施期間と頻度
本格的な調査は約6週間にわたって実施されました。週に2回程度、平日と週末に分けて行動パターンを観察し、合計12回の現地調査を実施しました。各回の調査時間は4~8時間で、複数の調査員が交代で担当しました。
平日昼間の意外な行動パターン
パチンコ店での長時間滞在
雅彦さんが「不動産業で忙しい」と言っている平日の昼間の行動を追跡することにしました。聡美さんから雅彦さんの車のナンバーと大まかな行動パターンを聞き出し、横浜駅周辺での張り込み調査を開始しました。
調査開始から1週間後の平日、午前10時頃に雅彦さんのBMWが横浜駅東口のコインパーキングに駐車されました。車から出てきた雅彦さんは、スーツ姿ではなくカジュアルな服装で、向かった先はポルタ地下街を抜けて相鉄ジョイナスの中にあるパチンコ店でした。
興味深いことに、雅彦さんは聡美さんに対して「横浜駅周辺の不動産相場を調査している」「現地を歩いて物件の立地条件を確認している」と説明していました。確かに横浜駅周辺は不動産業界では注目のエリアですが、実際の行動は全く異なっていました。
私たちは店舗周辺で待機し、雅彦さんの入退店を確認しました。午後2時頃まで約4時間、そのパチンコ店に滞在していることが確認できました。店から出てきた時の表情は冴えず、明らかに負けた様子でした。その後、西口に移動し、今度は別のパチンコ店へ向かいました。
夕方5時頃、雅彦さんは2軒目のパチンコ店からも出てきました。今度は馬車道駅近くの場外馬券売場に向かい、施設に入っていく様子が確認できました。「馬車道周辺の商業施設の動向調査」という名目でこのエリアも頻繁に訪れていると聡美さんには話していましたが、実際の目的は全く違っていたのです。
偽の職業経歴の確認
雅彦さんが「不動産業を営んでいる」という話の真偽を確かめるため、公開されている範囲で横浜市内の不動産関連の法人登記を調べました。しかし、代表者や役員として雅彦さんの名前が記載されている企業は見つかりませんでした。宅地建物取引業の個人免許については、詳細な確認は困難でしたが、雅彦さんの行動パターンから見て、実際に不動産業務に従事している様子は確認できませんでした。
経済力の演出手法と資金源の謎
雅彦さんの巧妙だった点は、表面的な"資産家の演出"を徹底していたことでした。支払いは常にクレジットカードで、「現金は持ち歩かない主義」という言葉とともに演出されていました。BMWでの送迎、ブランド品のプレゼント、そして不動産業界の専門用語を交えた会話により、聡美さんには確かに「成功した経営者」という印象を与えていました。
しかし実際は、外見や会話では"経営者の余裕"を装っていましたが、個人的な資産や収入は乏しく、聡美さんへのプレゼント(総額約50万円)については、その購入頻度と金額から、分割払いやリボ払いなどを利用していた可能性が高いと推測されます。デート費用の調達方法については、妻がパート収入で家計を支えている状況から、何らかの形で家計から捻出していたと考えられますが、具体的な手法は不明でした。
週末の行動で発覚した衝撃的事実
川崎の住宅街で見た真実
最も重要だったのは、聡美さんが「連絡が取れない」と言っていた週末の行動調査でした。車両調査で判明した川崎区の住所に基づいて、土曜日の朝7時から張り込みを開始しました。
午前8時頃、雅彦さんが一戸建て住宅から出てきました。築15年程度の3LDKの家で、表札には確かに「鈴木」の文字がありました。雅彦さんの後から、40代後半と思われる女性と、小学校高学年くらいの男の子が出てきました。
三人は自然に会話を交わし、明らかに家族の雰囲気でした。女性は雅彦さんに「行ってらっしゃい」と声をかけ、男の子は「お父さん、今度の日曜日は一緒にサッカーしようね」と話しかけていました。雅彦さんは「ああ、約束だからな」と笑顔で答えていました。
家族でのショッピングモール訪問
その日の午後、雅彦さん一家はBMWでららぽーと横浜へ向かいました。私たちも慎重に後を追い、館内での行動を観察しました。雅彦さんは妻と息子と一緒に映画を観て、フードコートで食事をし、子供服の店で息子の服を購入していました。
特に印象的だったのは、雅彦さんが息子のゲームソフトを購入する際の会話でした。「お父さん、これ欲しい」という息子の言葉に、「今月はもう予算オーバーだから、来月まで待とうか」と答えていました。これは聡美さんに高額なプレゼントを贈っていた雅彦さんの行動と大きく矛盾していました。
近隣住民からの証言で裏付けられた家族関係
長期間の居住実態
翌週、川崎の住宅街で近隣住民への聞き込み調査を実施しました。調査員として心がけているのは、相手に警戒心を抱かせないよう、自然な会話の中で情報を得ることです。
向かいの家の奥様(60代)にお話を伺ったところ、「鈴木さんご一家がこちらに越してこられたのは、もう7〜8年前のことですね。旦那さんは平日はお仕事で忙しそうですが、週末はよく息子さんと近くの公園でキャッチボールをされているのを見かけます。とても仲の良いご家族という印象です」との証言が得られました。
妻の職業と家計の実態
さらに詳しい聞き込みにより、雅彦さんの妻・美奈子さんが地元のイオン系列のスーパーでパートタイマーとして働いていることが分かりました。近所の主婦の方によると、「美奈子さんは週5日、朝9時から夕方4時まで働いていて、とても真面目な方。最近はご主人の仕事関係で何かと大変そうにされています」とのことでした。
美奈子さんが家計の主たる担い手となっている状況が確認されました。
調査結果の報告と依頼者の決断
衝撃の事実を前にした聡美さん
約6週間にわたる調査の結果を、写真や証拠資料と共に聡美さんに報告しました。相談室で資料を広げながら説明を始めると、聡美さんの顔は次第に青ざめていきました。
「住所も職業も、全部嘘だったんですね…」
川崎での家族の写真を見せると、聡美さんは言葉を失いました。
「この女性が…奥さんなんですね。そして、この子がお子さん」
聡美さんは写真を見つめながら、しばらく無言でした。特に、雅彦さんが息子と楽しそうに話している写真を見た時、聡美さんの目に涙が浮かんでいました。
関係終了への慎重な対応
調査結果を受けて、聡美さんは雅彦さんとの関係を終了することを決断しました。私たちからは、調査結果を相手に突きつけることは避けること、自然にフェードアウトする形で距離を置くこと、相手からの連絡には毅然とした態度で対応することといったアドバイスをしました。
聡美さんは、これらのアドバイスに従って行動されました。雅彦さんには「仕事が忙しくなった」「しばらく一人の時間が欲しい」といった理由で徐々に距離を置き、最終的に「価値観の違いを感じるので、お別れしたい」と明確に伝えました。
この事例から学ぶべきこと
聡美さんは私たちのアドバイス通り、一切返信せずに毅然とした態度を貫きました。約2週間後、雅彦さんからの連絡は次第に減り、最終的には完全に止まりました。
今回の調査を通じて、現代の結婚詐欺の手口がいかに巧妙になっているかを改めて実感しました。雅彦さんのように、長期間にわたって一貫した虚偽の人格を演じ続ける詐欺師が増えています。
相手の生活時間が極端に制限されている場合や、住居や職場など基本的な情報を確認できない場合は特に注意が必要です。
「何かおかしい」と感じたら、その直感を信じてください。大切な人生の決断だからこそ、確かな情報に基づく冷静な判断が必要です。一人で抱え込まず、専門家に相談することが、最善の一歩になります。
※本事例は実際の調査に基づいていますが、プライバシー保護の観点から、個人が特定されないよう詳細を変更しています。記載されている地名や施設名についても、事例の理解を助けるために使用しており、実際の調査対象や関係者とは一切関係ありません。
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