資産家を装い二重生活…偽りの婚約話が暴いた男の真実【横浜の結婚調査事例】

みなとみらいの夜景に隠された違和感

2024年秋、紅葉が美しく色づく季節に、一人の女性が当探偵事務所を訪れました。依頼者の山田聡美さん(仮名、32歳・広告代理店勤務)は、青葉区たまプラーザの閑静な住宅街に住む、しっかりとした職業観を持つ女性でした。

相談室で向かい合って座った聡美さんの表情には、不安と困惑が混在していました。私たち調査員が最も心を砕くのは、こうした人生の重大な局面で悩む依頼者の気持ちに寄り添うことです。20年を超える探偵業の経験から言えることは、結婚前の不安には必ず理由があるということでした。

「半年前からお付き合いしている男性がいるのですが、先月プロポーズを受けました。でも、どこか話が現実離れしていて…本当にこの人を信じて良いのか分からないんです」

聡美さんが語る婚約者は、鈴木雅彦さん(仮名、42歳)という男性でした。二人の出会いは、横浜駅西口のビアガーデンで開催された異業種交流会。雅彦さんは自らを「不動産業を営む資産家」と紹介し、聡美さんに積極的にアプローチしてきたのです。

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羽振りの良さと不自然な行動パターン

雅彦さんとのデートは、確かに豪華でした。横浜ベイクォーターの高層階レストランでの食事、赤レンガ倉庫周辺での散歩の後にはコスモワールドの観覧車「コスモクロック21」から夜景を眺め、最後は必ず高級ブランド店でのプレゼント購入。外車のBMWで迎えに来て、「お金のことは気にしなくていい」が口癖でした。

しかし、聡美さんが違和感を覚えたのは、雅彦さんの生活パターンでした。

「会えるのは決まって平日の夜遅くか、平日の昼間だけなんです。『不動産の仕事は夜が忙しい』『土日は重要な会議がある』と言っているのですが、週末になると連絡が全く取れなくなることも多くて…」

私も長年の経験から、このパターンには警戒感を抱きました。既婚者が不倫をする際の典型的な行動パターンと酷似していたからです。

さらに気になったのは、雅彦さんの住居についてでした。「港北ニュータウンの高級マンションに住んでいる」と聞いていましたが、実際に行ったことは一度もありませんでした。「まだ内装工事中で」「近所の目もあるから」といった理由で、いつも聡美さんの自宅近くまでの送迎に留まっていました。

調査開始 - 港北ニュータウンでの第一の発見

聡美さんからの依頼を受けて、まず雅彦さんが住んでいると称する港北ニュータウンのマンションの実地調査を開始しました。対象となったのは、センター北駅から徒歩5分の位置にある築10年の高級マンションでした。

エントランスの郵便受けを確認したところ、雅彦さんの名前はどこにも見当たりませんでした。管理人への聞き込みでは、「鈴木という名字の方はこの建物には住んでいません」との回答。念のため法務局で登記情報を確認したところ、聡美さんが教えられていた部屋番号の名義人は、佐々木花子さん(仮名、54歳)という女性でした。

この時点で、雅彦さんの話の第一の矛盾が明らかになりました。私たち調査員の間では「住所詐称は氷山の一角」という言葉があります。住所について嘘をつく人は、往々にして他の重要な事実についても虚偽を述べているものです。

平日昼間の行動追跡で見えた実態

次に、雅彦さんが「不動産業で忙しい」と言っている平日の昼間の行動を追跡することにしました。聡美さんから雅彦さんの車のナンバーと大まかな行動パターンを聞き出し、横浜駅周辺での張り込み調査を開始しました。

平日の午前10時、雅彦さんの愛車であるBMWが横浜駅東口のコインパーキングに駐車されました。車から出てきた雅彦さんは、スーツ姿ではなくカジュアルな服装。向かった先は、ポルタ地下街を抜けて相鉄ジョイナスの中にあるパチンコ店でした。

「まさか…」と思いながらも、調査員として冷静に記録を続けました。雅彦さんは午後2時頃まで約4時間、そのパチンコ店に滞在。その後、さらに驚くべき行動に出ました。

西口に移動し、今度は別のパチンコ店へ。さらに夕方には、馬車道駅近くの場外馬券売場に向かったのです。これが「不動産業で忙しい」と言っていた男性の実際の平日の過ごし方でした。

週末の行動で発覚した衝撃的事実

最も重要だったのは、聡美さんが「連絡が取れない」と言っていた週末の行動調査でした。土曜日の朝7時、雅彦さんのBMWが動き出したのを確認し、慎重に尾行を開始しました。

車は東神奈川駅を経由して京急線に沿って南下し、川崎市内へ。最終的に到着したのは、川崎区の閑静な住宅街にある一戸建て住宅でした。築15年程度の3LDKの家で、表札には「鈴木」の文字がありました。

雅彦さんが車から降りると、玄関から出てきたのは40代後半と思われる女性と、小学校高学年くらいの男の子。三人は自然に会話を交わし、明らかに家族の雰囲気でした。女性は雅彦さんに「お疲れさま」と声をかけ、男の子は「お父さん」と呼んでいました。

この光景を目撃した時、私は調査員として20年以上の経験がありながらも、改めて人間の二面性の恐ろしさを感じました。聡美さんの前では独身の資産家を演じ、週末は家族の父親として過ごす。その器用さと残酷さに、職業的な冷静さを保つのに苦労しました。

近隣住民からの証言で裏付けられた家族関係

翌日、川崎の住宅街で近隣住民への聞き込み調査を実施しました。調査員として心がけているのは、相手に警戒心を抱かせないよう、自然な会話の中で情報を得ることです。

「この家の鈴木さんご一家は、どのくらい前からお住まいですか?」

向かいの家の奥様からは「もう7〜8年になりますね。旦那さんは平日はお仕事で忙しそうですが、週末はよく息子さんと公園に行かれているのを見かけます」との証言。

別の近所の方からは「奥さんはとても感じの良い方で、息子さんも礼儀正しい子です。普通の幸せな家族という印象ですね」との情報を得ました。

これらの証言により、雅彦さんが長期間にわたって家族と同居していることが裏付けられました。しかも、近所の評判も良く、まさに「良き夫、良き父親」として認識されていたのです。

資産状況の調査で明らかになった経済的実態

「資産家」を名乗る雅彦さんの経済状況についても調査を進めました。不動産業を営んでいるという話の真偽を確かめるため、横浜市内の不動産業者に関する公開情報を調査しましたが、雅彦さんの名前で登録されている事業者は見つかりませんでした。

また、愛車のBMWについても調査したところ、中古車販売店での購入で、しかもローンでの支払いであることが判明。さらに詳しく調べると、実は妻名義での購入で、雅彦さん個人の収入だけでは審査に通らなかった可能性が高いことも分かりました。

このBMWこそが、雅彦さんの「資産家」演出の最重要アイテムだったのです。実際の収入源については、妻の収入と思われる安定した入金があることから、妻が働いており、世帯収入で生活を支えていると推測されました。

豪華なデートの資金源も判明

雅彦さんが聡美さんとの豪華なデートに使っていた資金についても調査を進めました。近所の住民の証言や生活パターンの観察から、雅彦さんの実際の職業は、派遣社員やアルバイトを転々としている状況であることが判明しました。

では、高級レストランでの食事代やブランド品のプレゼント代はどこから出ていたのでしょうか。調査を進める中で、雅彦さんが複数の消費者金融を利用していることが分かりました。おそらく、聡美さんとの交際費用は借金で賄っていたと考えられます。

さらに深刻だったのは、妻に対して「仕事の付き合いで出費が必要」といった嘘をついて、家計からも資金を調達していた可能性が高いことでした。つまり、聡美さんとの豪華なデートは、妻の稼ぎと借金によって成り立っていたのです。

調査結果の報告 - 依頼者の衝撃と決断

約3週間にわたる調査の結果を、写真や証拠資料と共に聡美さんに報告しました。相談室で資料を広げながら説明する私の声を、聡美さんは最初は信じられないという表情で聞いていました。

「まさか、そこまでとは…」

住所から職業、家族構成、経済状況まで、雅彦さんが聡美さんに話していたことの全てが虚偽だったという事実。特に、既婚者であり父親でもあるという事実には大きなショックを受けていました。

「彼が話してくれた『二人で築く夢のある未来』に、私は少しでも乗ってしまいそうだった自分が怖いです。もし結婚していたら…考えただけでもゾッとします」

聡美さんの言葉には、安堵と同時に、深い失望も込められていました。私たち調査員としては、真実を明らかにすることで依頼者を傷つけることもある。しかし、より大きな被害を防ぐためには、辛い真実でも伝えなければならない。そのジレンマを常に抱えながら仕事をしています。

関係終了への慎重な対応

調査結果を受けて、聡美さんは雅彦さんとの関係を終了することを決断しました。しかし、問題は「どのように関係を終わらせるか」でした。

私たちからは、以下のようなアドバイスをしました:

  1. 調査結果を相手に突きつけることは避ける(逆恨みやトラブルの原因となる可能性)
  2. 自然にフェードアウトする形で距離を置く
  3. 相手からの連絡には毅然とした態度で対応する
  4. 万が一、しつこく連絡が続く場合は法的手段も検討する

聡美さんは、これらのアドバイスに従って行動されました。雅彦さんには「仕事が忙しくなった」「しばらく一人の時間が欲しい」といった理由で徐々に距離を置き、最終的に「価値観の違いを感じるので、お別れしたい」と明確に伝えました。

しつこい連絡と毅然とした対応

予想通り、雅彦さんからは別れを告げた後もしつこく連絡が続きました。「理由を詳しく教えて欲しい」「もう一度会って話し合おう」「君を失いたくない」といった内容のメッセージが、毎日のように送られてきました。

しかし、聡美さんは私たちのアドバイス通り、一切返信せずに毅然とした態度を貫きました。約2週間後、雅彦さんからの連絡は次第に減り、最終的には完全に止まりました。

おそらく雅彦さんも、聡美さんの意志の固さを理解したのでしょう。あるいは、他の「獲物」を見つけたのかもしれません。いずれにしても、大きなトラブルに発展することなく関係を終了できたのは幸いでした。

結婚詐欺の典型的パターンと予防法

今回の事例は、結婚詐欺の典型的なパターンでした。私たちが過去に扱った類似の案件と共通する特徴をまとめると、以下のようになります:

詐欺師の特徴

  • 自分を実際以上に大きく見せる(資産家、社長、医師など)
  • 会える時間帯が限定的(既婚者のため)
  • 住居や職場を見せたがらない
  • 豪華なデートでターゲットを魅了する
  • 将来の夢や希望を大げさに語る

予防法

  • 相手の話を鵜呑みにせず、客観的事実を確認する
  • 住居や職場の実際の確認を求める
  • 家族や友人への紹介を提案してみる
  • 経済力の証明を求める(通帳の提示など)
  • 違和感を覚えたら専門家に相談する

依頼者のその後と新しいスタート

調査終了から半年後、聡美さんから近況報告をいただきました。最初の数ヶ月は男性不信に陥り、恋愛に対して消極的になっていたそうですが、徐々に回復し、現在は新しい出会いにも心を開けるようになったとのことです。

「あの時、調査をお願いして本当に良かったです。もし結婚していたら、私の人生はめちゃくちゃになっていたと思います。今度は、ちゃんと相手のことを見極めてから関係を深めようと思います」

聡美さんの言葉を聞いて、私たち調査員も心から安堵しました。辛い真実を伝えることになりましたが、それが依頼者の将来を守ることに繋がったのです。

横浜という土地柄と結婚詐欺

横浜は、その華やかなイメージゆえに結婚詐欺師にとって格好の舞台となりやすい土地です。みなとみらいの夜景、赤レンガ倉庫のロマンチックな雰囲気、元町・中華街の高級感。これらすべてが、詐欺師の演出を助ける小道具となってしまいます。

また、横浜は東京に近いため、平日は東京で働き、週末は横浜でデートという使い分けも容易です。今回の雅彦さんのように、実際は川崎の住宅街で家庭を持ちながら、横浜では独身の資産家を演じることも可能なのです。

このような土地柄だからこそ、横浜で出会った相手については、特に慎重な確認が必要だと言えるでしょう。

現代社会における結婚詐欺の巧妙化

今回の事例からも分かるように、現代の結婚詐欺は非常に巧妙になっています。昔のような明らかに怪しい詐欺とは違い、長期間にわたって一貫した人格を演じ続ける能力を持った詐欺師が増えています。

特に注意すべきは、以下のような点です:

  1. SNSを巧みに利用した偽の経歴作り
  2. 借金を重ねてでも豪華な演出を続ける執念
  3. 心理的な操作技術の向上
  4. 法的知識を持ち、刑事事件にならないよう巧妙に立ち回る

このような状況だからこそ、結婚前の調査の重要性は高まっていると言えるでしょう。

まとめ - 人生を守るための勇気ある決断

今回の調査は、一人の女性の人生を大きく変えることになりました。もし聡美さんが違和感を感じながらも調査を依頼せず、そのまま結婚していたらどうなっていたでしょうか。

雅彦さんの借金は聡美さんの資産で返済され、家族の存在はいずれ発覚し、聡美さんの人生は完全に破綻していたかもしれません。そう考えると、聡美さんの「勇気ある決断」が、いかに重要だったかが分かります。

私たち探偵は、時として辛い真実を依頼者に伝えなければならない職業です。しかし、その真実が依頼者の人生を守ることに繋がるのであれば、それは意味のある仕事だと信じています。

もし結婚を前にして少しでも不安を感じることがあれば、その直感を大切にしてください。そして、一人で悩まず、専門家に相談することをお勧めします。人生の重要な決断だからこそ、確実な情報に基づいて判断することが大切なのです。

当探偵事務所では、依頼者のプライバシーを最優先に考えながら、適法な手段による調査を行っています。結婚前調査、素行調査、浮気調査など、人生の重要な局面での判断材料を提供することで、依頼者の幸せな未来をサポートしています。


※本事例は実際の調査に基づいていますが、プライバシー保護の観点から、個人が特定されないよう詳細を変更しています。記載されている地名や施設名についても、事例の理解を助けるために使用しており、実際の調査対象や関係者とは一切関係ありません。記載されている地名や施設名についても、事例の理解を助けるために使用しており、実際の調査対象や関係者とは一切関係ありません。

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