依頼の背景:過去の経験からの慎重さ

秋の夕方、私たちの事務所に一本の相談電話が入りました。声の主は横浜市鶴見区に住む30代男性で、「婚約中の女性について調べてほしい」という結婚調査のご依頼でした。電話口の声には、過去の経験からくる慎重さと、真剣な交際への真摯な気持ちが込められていました。

「前の交際で金銭的なトラブルを経験したことがあり、今度は同じ失敗を繰り返したくないんです。彼女のことは信頼していますが、結婚前に一度、きちんと確認しておきたいのです」

依頼者の山田さん(仮名、30代男性)は、横浜市鶴見区で会社員として働く誠実な男性でした。半年ほど前から交際している女性・中村恵子さん(仮名、20代後半)との結婚を真剣に考えており、プロポーズのタイミングを検討していました。

交際は非常に円満で、恵子さんは穏やかで優しい性格の女性として山田さんには映っていました。料理上手で家庭的な面もあり、山田さんは「理想的なパートナー」と感じていたといいます。

しかし、山田さんには過去に交際相手との金銭トラブルを経験した苦い記憶がありました。

「前の交際相手は、交際中に借金の存在を隠していて、同棲後にその事実が発覚しました。結局、私が肩代わりすることになり、関係も破綻してしまったんです。今度は同じ失敗を繰り返したくない」

そんな山田さんが恵子さんとの交際で気になっていたのは、彼女の話にときどき一貫性がないことでした。

「勤務先について詳しく教えてくれないんです。『事務職をしている』とは言うのですが、会社名や具体的な業務内容を聞くとはぐらかされます。また、実家の話になると急に話題を変えることが多くて…」

さらに、デート中に支払いで困る場面が何度かあったことも気になっていました。

「高額な買い物の際に『カードの限度額を超えている』と言って現金で払えないことが数回ありました。普段は金銭感覚がしっかりしているように見えるのですが、その時だけは違和感を感じました」

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調査計画の策定

山田さんからの詳細な聞き取りを行った結果、私たちは以下の調査方針を決定しました。恵子さんが主張している勤務先の実態調査、実際の居住状況と家族関係の確認、経済状況と借金の有無の調査、そして過去の転職歴や人間関係のトラブルの確認を実施することにしました。

調査期間は2週間とし、平日の勤務実態調査、居住地での生活パターン観察、関係者への聞き込み調査を段階的に進めることにしました。

第1週:勤務先と居住実態の調査

虚偽の勤務先申告

恵子さんが山田さんに話していた勤務先について、まず企業情報の確認から開始しました。恵子さんは「横浜の商社で事務をしている」と話していましたが、関係者への聞き込みの結果、その商社での在籍実態は確認できませんでした。

さらに調査を進めると、恵子さんは実際には横浜市内の小規模な物流会社で派遣社員として勤務していることが判明しました。この会社は従業員20名程度の中小企業で、恵子さんは週4日のパートタイム勤務でした。

勤務実態の確認

1週間にわたって勤務先周辺での張り込み調査を実施したところ、恵子さんは毎週月・火・木・金曜日の9時から17時まで勤務していることが確認されました。水曜日と土日は出勤しておらず、山田さんに話していた「正社員」ではなく、パートタイム勤務であることが明らかになりました。

会社の関係者らしき女性との会話を観察していると、「今月もまた返済があるから、バイトを増やさないと」という言葉が聞こえました。これにより、恵子さんが経済的に困窮している可能性が高いことが推測されました。

居住実態の調査

恵子さんは山田さんに「実家で両親と一緒に住んでいる」と話していましたが、実際の居住地調査により、これも虚偽であることが判明しました。

恵子さんの実際の住所は、横浜市鶴見区の築25年の木造アパートでした。1Kの小さな部屋で、明らかに一人暮らしの様子でした。近隣への聞き込みにより、恵子さんは1年ほど前からこのアパートに一人で住んでいることが確認されました。

「恵子さんは夜遅く帰ってくることが多くて、たまに督促らしい人が来ることもあります。最近は家賃の支払いも遅れがちだと大家さんが話していました」

第2週:経済状況と過去の調査

借金の実態調査

関係者への聞き込みを通じて、恵子さんの経済状況について詳しい情報を得ることができました。勤務先関係者への聞き取りでは、恵子さんが複数の金融機関から借り入れを行っている可能性があることが判明しました。

「恵子さんは毎月25日の給料日前になると、お金に困っている様子でした。『今度の休みに用事がある』とよく言っていましたし、スマートフォンで何かのアプリをよく確認していました」

さらに調査を進めると、恵子さんは複数の金融機関から合計で100万円程度の借り入れがあることが推測されました。月々の返済額も相当な負担となっており、パートタイムの収入だけでは生活が厳しい状況でした。

過去の転職歴とトラブル

恵子さんの過去について調査したところ、この2年間で4回の転職を繰り返していることが判明しました。それぞれの退職理由について関係者への聞き込みを行ったところ、興味深い事実が明らかになりました。

2年前まで勤務していた会社の元同僚によると、恵子さんは当時同棲していた男性との金銭トラブルが原因で退職を余儀なくされたとのことです。

関係者によると、「恵子さんは当時、年上の男性と同棲していました。でも、その男性がギャンブルで借金を作り、恵子さんの名前でも借金をしていたことが発覚したんです。恵子さんは被害者だったのですが、連帯保証人になっていたため、返済義務を負うことになりました」

元交際相手とのトラブル詳細

この元交際相手とのトラブルについて、さらに詳しく調査しました。関係者によると、恵子さんは3年前から交際していた男性と同棲していましたが、その男性がギャンブルにのめり込み、金融機関から借金を重ねていたとのことです。

最終的に、恵子さんの名義でも借金が作られ、総額で相当な債務を抱えることになったとのことです。恵子さんは当初、このことを知らずにいましたが、取り立ての連絡がくるようになって初めて事実を知ったそうです。

「恵子さんは真面目な人でしたが、その男性に騙されてしまったんです。結局、男性は姿を消し、恵子さんが一人で借金を背負うことになりました。そのストレスで体調を崩し、退職することになったんです」

現在の返済状況

現在も恵子さんは、この時の借金の返済を続けていることが判明しました。元々の200万円の借金のうち、約80万円は既に返済しましたが、残りの120万円について現在も月々返済を続けている状況でした。

パートタイムの収入だけでは返済が困難なため、時々夜間や休日にアルバイトをして収入を補っているとのことでした。これが、恵子さんがデート中に金銭的な問題を抱えている理由でした。

家族関係の実態

実家との関係

恵子さんが「両親と一緒に住んでいる」と話していた件についても調査しました。実際には、恵子さんの両親は神奈川県内の別の市に住んでおり、恵子さんとは疎遠になっていることが判明しました。

近隣の関係者によると、恵子さんは借金問題が発覚した際に両親に相談したものの、「自分で作った借金は自分で返しなさい」と突き放されたとのことです。それ以降、実家との連絡は途絶えがちになっていました。

「恵子さんは時々実家のことを気にしている様子でしたが、借金のことで迷惑をかけたくないと言って、連絡を取らないようにしていました。一人で抱え込んでしまう性格なんです」

孤立した生活状況

調査により、恵子さんは現在、家族とも疎遠で、友人も少なく、非常に孤立した生活を送っていることが分かりました。借金の返済に追われる日々で、社交的な活動をする余裕もない状況でした。

山田さんとの交際が、恵子さんにとっては数少ない心の支えになっていることも推測されました。だからこそ、過去の借金問題を話すことで関係が壊れることを恐れ、虚偽の申告をしてしまったのでしょう。

調査結果の総合分析

2週間の調査を通じて得られた情報を総合すると、恵子さんは決して悪意を持って山田さんを騙そうとしていたわけではなく、過去のトラブルの被害者という側面が強いことが分かりました。

しかし、現在も相当額の借金を抱え、経済的に困窮している事実は変わりません。また、勤務先や居住状況について虚偽の申告をしていることも事実でした。

恵子さんの人格や性格には問題はないものの、結婚に向けては解決すべき課題が複数存在することが明らかになりました。

調査結果の報告

詳細な調査報告書には、2週間にわたる調査記録、勤務実態の確認資料、居住状況の証拠、借金返済状況の分析、過去のトラブル経緯の整理などが含まれていました。

山田さんは報告を受けて、複雑な心境を示されました。

「彼女が借金を抱えていることはショックでしたが、それが彼女自身の責任ではなく、騙されたことが原因だと分かって、むしろ同情の気持ちが強くなりました。ただ、なぜそのことを話してくれなかったのかは残念です」

山田さんは、恵子さんを責めるつもりはないものの、結婚前にはお互いの状況を正直に話し合う必要があると感じたとのことでした。

依頼者と恵子さんの話し合い

調査結果を受けて、山田さんは恵子さんとの面談の場を設けました。山田さんは調査結果について詳しく説明し、恵子さんに真実を話すよう求めました。

恵子さんは最初は戸惑いを見せましたが、具体的な事実を示されると、最終的にすべてを認めました。

「過去のことを話すと、山田さんに嫌われると思って言い出せませんでした。でも、嘘をついてしまったことは本当に申し訳ありませんでした」

恵子さんは涙ながらに謝罪し、借金の詳細な状況や過去のトラブルについて詳しく説明しました。また、山田さんに迷惑をかけるつもりはなく、自分の力で借金を返済するつもりでいたことも話しました。

関係の再構築に向けて

話し合いの結果、山田さんは恵子さんの置かれた状況を理解し、彼女を支えたいという気持ちを示しました。しかし、同時に信頼関係の再構築が必要であることも確認しました。

「調査をして彼女の本当の状況が理解できました。過去の過ちを責めるつもりはありませんが、結婚するからにはお互いに誠実でいたいです」

山田さんは、一度結婚話を白紙に戻し、まずは恵子さんの借金問題の解決を一緒に考えることを提案しました。そして、お互いの信頼関係を一から築き直す時間を取ることにしました。

恵子さんもこの提案を受け入れ、今後は山田さんに対して何でも正直に話すことを約束しました。

その後の経過

調査終了から3か月後、山田さんから近況報告をいただきました。恵子さんは山田さんの協力を得て、借金の整理を進めており、月々の返済負担を軽減することができたそうです。

また、恵子さんは正社員としての就職活動も開始し、より安定した収入を得られるよう努力していました。

「彼女の真面目な性格を改めて確認できましたし、困難に立ち向かう姿勢にも感動しています。時間はかかりますが、一緒に問題を解決していきたいと思います」

山田さんと恵子さんの関係は、調査をきっかけとしてより深い信頼関係に発展していました。

現代の結婚前調査における課題

今回のケースは、現代の結婚前調査において典型的な事例の一つです。経済的な問題を抱えた相手との結婚は、慎重な検討が必要な課題です。

特に消費者金融の普及により、借金問題は身近な問題となっています。恵子さんのように、本人の責任ではない借金を抱えるケースも少なくありません。

重要なのは、借金の存在そのものよりも、その原因と現在の対応状況、そして将来への解決策です。今回のケースでは、恵子さんが被害者であり、真摯に返済に取り組んでいることが確認できました。

調査手法の詳細

今回の調査では、複数の手法を組み合わせることで効率的に情報を収集しました。

勤務先調査では、企業への直接確認と現地での張り込み調査により、実際の勤務実態を把握しました。居住実態調査では、近隣への聞き込みと生活パターンの観察により、一人暮らしの事実を確認しました。

経済状況の調査では、関係者への聞き取りと行動観察により、借金の存在と返済状況を推測しました。過去のトラブル調査では、元同僚や関係者への聞き込みにより、詳細な経緯を明らかにしました。

これらの調査手法を組み合わせることで、恵子さんの真実の状況を包括的に把握することができました。

探偵としての所感

長年の探偵業務を通じて、借金問題を抱えた結婚相手の調査は数多く手がけてきましたが、今回のケースは特に考えさせられるものでした。

恵子さんは決して悪人ではなく、むしろ過去のトラブルの被害者でした。しかし、そのことを隠してしまったことで、新たな信頼関係に影響を与えてしまいました。

現代社会では、消費者金融やクレジットカードの普及により、誰でも簡単に借金を作ることができます。また、詐欺や悪質商法の被害により、意図しない借金を背負うケースも増えています。

結婚前調査においては、単に借金の有無を確認するだけでなく、その背景や当人の対応姿勢、将来への解決策も含めて総合的に判断することが重要です。

今回のケースでは、山田さんが恵子さんの状況を理解し、一緒に問題を解決しようとする姿勢を示したことで、より良い関係に発展しました。これは、調査の理想的な結果の一つだと考えています。

借金問題を抱える相手との結婚における注意点

借金問題を抱える相手との結婚を検討する際は、以下の点に注意が必要です。

まず、借金の原因と経緯を詳しく確認することが重要です。本人の浪費が原因なのか、それとも被害者としての借金なのかにより、対応は大きく異なります。

次に、現在の返済状況と将来の返済計画を確認してください。毎月の返済額と収入のバランス、完済までの期間などを具体的に把握することが必要です。

また、借金問題に対する本人の姿勢も重要な判断要素です。問題を軽視しているのか、真摯に向き合っているのかを見極めてください。

最後に、結婚後の家計管理について事前に話し合うことも重要です。借金の返済を含めた家計の運営方法について、お互いの理解と合意を得ておくことが必要です。

予防策と対応方法

このような状況を避けるために、交際中から以下の点に注意することをお勧めします。

経済状況について、早い段階でオープンに話し合うことが重要です。お互いの収入、支出、貯蓄、借金の有無について正直に情報を共有してください。

また、デート中の金銭感覚や支払い方法にも注意を払ってください。頻繁にカードが使えないと言ったり、現金を持っていないことが多い場合は、経済的な問題がある可能性があります。

過去の恋愛関係についても、適度に確認することが大切です。過去のトラブルが現在の状況に影響している可能性があります。

違和感を感じた場合は、一人で悩まず専門家に相談することをお勧めします。問題が深刻化する前に、適切な対応を取ることが重要です。

結論

今回の調査では、表面的には隠された問題を抱えた女性の真実の状況を明らかにすることができました。借金問題、虚偽申告、過去のトラブルなど、結婚前に確認すべき重要な事実が次々と発覚しました。

しかし、同時に恵子さんが被害者としての側面を持ち、真摯に問題と向き合おうとしている姿勢も確認できました。これにより、山田さんは単純に関係を終わらせるのではなく、一緒に問題を解決しようとする選択をしました。

結婚前調査の目的は、相手を糾弾することではなく、正確な情報に基づいて適切な判断を行うことです。今回のケースは、その理想的な結果の一例と言えるでしょう。

現代社会では、経済的な問題を抱える人が増えており、結婚相手の経済状況を正確に把握することの重要性は高まっています。適切な調査により真実を明らかにし、その上で最良の選択をすることが、幸せな結婚生活への第一歩となります。

今回の調査期間は2週間、調査対象は20代後半の女性でした。主な調査内容は勤務実態の確認、居住状況の把握、経済状況と借金の調査、過去のトラブル歴の確認でした。結果として、複数の虚偽申告と借金問題が判明しましたが、依頼者は問題解決に向けた建設的な対応を選択することができました。

※本事例は実際の調査案件を基にしていますが、プライバシー保護の観点から、関係者の属性(年齢・性別・職業・住所)や依頼内容について、一部変更を加えています。

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