「もう一度謝りたい」-しかし法的リスクから調査をお断り

神奈川県横浜市在住の依頼者(30代男性)から、「音信不通になった元交際相手の女性を探してほしい」とのご相談を受けましたが、当探偵事務所では探偵業法違反の可能性があると判断し、誠に心苦しいながらお断りさせていただいた事例です。

依頼者と対象女性は、かつて同じ職場で出会い、交際へと発展。将来的な結婚も視野に入れていたといいます。しかし、依頼者の浮気が発覚し、関係は破綻。以後、2人は疎遠となりました。

別れから3ヵ月が経過し、依頼者の中で後悔の念が強まり、「もう一度謝りたい」「できればやり直したい」という気持ちが膨らんでいったそうです。

意を決して元恋人のもとを訪ねたところ、すでにアパートは退去済みで、別人が居住。電話もつながらず、完全に連絡手段を失ったことから、当探偵事務所に調査をご相談いただきました。

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依頼者の真摯な気持ちは理解できるが…

依頼者の切実な想い

初回の相談で、依頼者は涙を流しながら話されました。「自分が裏切ったのに身勝手だとは分かっています。でも、彼女がいかに大切な存在だったか、失ってから初めて気づきました」

「きちんと謝罪したい。そして可能なら関係を修復したい。ストーカーのようなことをするつもりは全くありません」

依頼者の真摯な気持ちと後悔の念は、私たち探偵にも十分に伝わってきました。人として、過ちを犯した相手に謝罪したいという気持ちは理解できるものです。

しかし法的な問題を無視できない

しかし、私たち探偵は法令遵守の責任があります。どれほど依頼者の気持ちが真摯であっても、法的に問題のある調査は引き受けることができません。

なぜ調査をお断りしたのか-法的根拠と判断理由

探偵業法の規定による制限

探偵業法では、探偵業者は「調査結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはなりません」と定められています。

今回のケースでは、以下の法的リスクが懸念されました:

1. ストーカー規制法違反への加担の可能性 ストーカー規制法は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」での行為を規制しています。元恋人への復縁を目的とした調査は、この定義に該当する可能性があります。

2. 対象者の意思に反する調査の可能性 対象者が意図的に連絡を絶ち、住所も変更していることから、明確に接触を拒否している可能性が高いと判断されました。

3. 調査結果の悪用リスク 探偵がストーカー犯罪を助長する目的で仕事を受けた場合には、探偵といえどもストーカー行為の幇助などに問われる可能性があります。

実際の判例による危険性

実際に、「依頼人がストーカー行為をすると知りながら女性の住所を教えた」として、探偵業者がストーカー規制法違反の幇助で逮捕された事例があります。

また、「元交際相手との復縁の工作を依頼され、被害女性を待ち伏せするなどした行為がストーカー規制法違反の幇助にあたるとして探偵事務所代表の男性が書類送検された事例」も存在します。

これらの判例から、元恋人の人探し調査は高いリスクを伴うことが明らかです。

相手の意思を尊重することの重要性

音信不通には明確な理由がある

今回のケースで重要なのは、元恋人が「意図的に」連絡を絶っていることです。住所変更、電話番号変更、SNSアカウント削除など、明らかに過去との縁を切ろうとする行動を取っています。

これは単なる偶然ではなく、「もう関わりたくない」という明確な意思表示と解釈すべきです。

相手の人権と尊厳を最優先に

私たち探偵は、依頼者の気持ちを理解しながらも、対象者の人権と尊厳を最優先に考える必要があります。どんなに依頼者が復縁を望んでも、相手が明確に拒否している場合は、その意志を尊重しなければなりません。

「謝罪したい」という気持ちは理解できますが、それが相手の平穏な生活を脅かす可能性がある場合、その気持ちを実現することが本当に正しいのでしょうか。

探偵事務所として取るべき責任ある対応

法令遵守は探偵事務所の基本姿勢

探偵事務所や興信所は、ストーカーをしている人やDV加害者からの依頼を受け付けないルールになっています。これは、法律で決められているので、「あの探偵事務所・興信所ならストーカー・DVにつながる人探し調査を依頼できる」といったことはありません。

当探偵事務所では、どのような依頼であっても、まず法的な観点から慎重に検討します。依頼者の気持ちに共感しながらも、法令に抵触する可能性がある調査は、たとえ売上に影響があってもお断りしています。

今回のケースでは、依頼者に対して探偵業法の規定による制限、ストーカー規制法違反への加担リスク、相手の意思を尊重する重要性、そして実際の判例による危険性について丁寧に説明しました。

同時に、共通の友人を通じた謝罪の機会の模索や、時間をかけた自然な再会の可能性、過去との向き合い方についてのアドバイス、専門カウンセラーとの面談など、代替的な解決方法も提案いたしました。

探偵として最も大切なのは、感情的な判断を避けることです。依頼者の切実な気持ちに動かされて、法的リスクを軽視してしまうことは、結果的に依頼者自身を危険にさらすことになります。

適切な人探し調査との違い

誤解のないよう説明すると、当探偵事務所では行方不明になった家族の捜索、高齢者の徘徊による失踪、家出した未成年者の捜索といった家族の安否確認調査や、正当な債権回収のための調査、相続関係の調査、養育費の支払い義務者の所在確認、詐欺被害の加害者特定などは積極的に受けております。

これらの調査と今回断った調査の違いは、対象者の安全や正当な権利に関わるかどうか、社会的に正当な理由があるかどうか、法的に保護された権利の行使かどうかという点にあります。今回の事例は対象者の意思に反する可能性が高く、個人的な感情に基づくものであり、法的リスクが高いと判断いたしました。

調査をお断りした後も、私たちは依頼者を見捨てるわけではありません。過去の過ちと向き合う方法のアドバイス、新しい人生を歩むための心構え、専門カウンセラーの紹介といった心理的サポートや、法的リスクのない謝罪方法の模索、自己改善に向けた具体的な提案など、継続的なサポートを行います。

依頼者には、「相手を見つけること」よりも「自分自身と向き合うこと」の重要性を説明しました。過去の過ちを真摯に反省し、同じ間違いを繰り返さないよう成長することが、最も大切なことです。

最後に

調査をお断りした依頼者は、最初は失望されていました。しかし、私たちの説明を聞き、最終的には「確かにそうですね。相手の気持ちを考えていませんでした」と理解を示してくださいました。

現在は、過去の過ちを深く反省し、新しい人生を歩むための準備を進めておられます。真の解決は、相手を見つけることではなく、自分自身を見つめ直すことにあったのです。

私たち探偵事務所の役割は、単に依頼者の要望を叶えることではありません。法的・倫理的な観点から適切な判断を下し、依頼者の真の利益を考えることが重要です。

もし同様のお悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、まずは法的リスクについて十分に理解していただき、相手の意思を尊重することの大切さを考えていただければと思います。

当探偵事務所では、法令を遵守しながら、皆様の真の利益となる調査のみを行っております。どのようなご相談でも、まずはお気軽にお話しください。適切な判断とアドバイスを提供いたします。

※本事例は実際のご相談に基づいていますが、プライバシー保護の観点から、詳細を変更しています。

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