「1,200万円が一夜にして消えた」-破産を隠蔽した悪質な取引相手

神奈川県で事業を営む依頼者(自営業者)から、「取引先の担当者が破産後に連絡を絶ち、所在不明となったので調査してほしい」とのご相談を受け、当探偵事務所が所在調査を行った事例です。

依頼者と対象者(債務者)は数年来の取引関係にあり、信頼関係も築けていると思っていました。今回も通常どおり大口の商品を発注し、前金として約1,200万円を支払った直後、対象者の会社が突如として破産を発表したのです。

「まさかという気持ちでした。前日まで普通に電話で話していたのに、翌朝には弁護士事務所から破産通知が届いていたんです」

依頼者の驚きと困惑は計り知れないものでした。商品の納入もないまま、連絡は一切取れなくなり、担当者は電話にも出ず、メールの返信もなく、完全に音信不通の状態が2週間以上続いていたといいます。

依頼者の切実な状況

依頼者にとって1,200万円は事業存続に関わる大きな金額でした。製造業を営む中小企業として、この損失は資金繰りに深刻な影響を与える可能性がありました。

「従業員の給料も払わなければならないし、他の取引先への支払いもある。この1,200万円がないと、うちの会社も連鎖倒産してしまうかもしれません」

依頼者の声には切実さが込められていました。家族を養い、従業員の生活を守る責任を負う経営者として、この事態を看過するわけにはいかなかったのです。

破産のタイミングに感じた不自然さ

返金を求めるべく連絡を試みるも全く反応がなく、事態を重く見た依頼者は、債権の回収と所在確認を目的として、当探偵事務所に調査を依頼されました。

「破産のタイミングがあまりにも計画的で、前金を受け取った直後というのが納得できませんでした。もしかしたら最初から騙すつもりだったのではないかと疑い始めたんです」

実際、このような前金を受け取った直後の破産は、資金繰りに窮した業者がよく使う手法の一つです。私たち探偵の経験からも、偶然とは考えにくいタイミングでした。

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探偵の視点から見た事案の特殊性

債権回収調査の困難さ

この依頼を受けた時、私は相当な困難が予想されると感じました。債権回収のための人探し調査は、通常の人探しとは全く性質が異なります。

通常の人探しでは、対象者も見つかることを望んでいるか、少なくとも拒否していない場合が多いのですが、債権回収の場合は対象者が積極的に発見を避けようとします。あらゆる手段を使って痕跡を消し、身を隠そうとするのです。

「これまでの経験上、このようなケースでの発見は非常に困難です。相手が本気で隠れている場合、相当な技術と労力が必要になります」

依頼者にはこの現実を正直にお伝えしました。簡単には見つからない可能性が高いこと、調査費用もかかることを説明したうえで、それでも諦めずに調査を続ける意志があるかを確認しました。

依頼者の決意

「それでもやってください。このまま諦めるわけにはいきません。従業員のためにも、家族のためにも、絶対に取り戻したいんです」

依頼者の強い決意を感じ、私たちも全力で取り組むことを約束しました。ただし、成功の保証はできない旨も重ねてお伝えしました。

消えた債務者の足跡を追う-調査開始

空っぽになった自宅の調査

調査員2名体制で、まず債務者の自宅を訪問しました。すでに生活の拠点として機能していない様子が確認され、持ち家や車両など、ほぼすべての資産に抵当が設定されていたことが分かりました。

郵便受けには督促状や法的通知が山積みになっており、明らかに長期間不在であることが窺えました。電気メーターも止まっており、水道も停止されている状況でした。

「完全に生活の痕跡が消えていました。これは一時的な不在ではなく、計画的な退去だと判断せざるを得ませんでした」

近隣住民からの重要な証言

近隣住民への聞き込みでは、貴重な情報を得ることができました。

「1ヶ月ほど前から姿を見ていない」「夜中にトラックで荷物を運び出していた」「最近、知らない男性が何度か家を見に来ていた」

特に夜中の引っ越し作業については、複数の住民が目撃していました。これは明らかに人目を避けた計画的な転居でした。

また、「知らない男性」については、不動産関係者である可能性が高いと推測されました。破産に伴う資産処分のための下見だったのでしょう。

会社関係者からの手がかり

金融機関や法律事務所からの情報収集は困難だったため、方針を転換し、債務者が経営していた会社の元従業員や取引先への聞き込みを開始しました。

元従業員の一人は、「社長は破産の数ヶ月前から様子がおかしく、重要な書類を自宅に持ち帰ることが多くなっていた」と証言してくれました。また、「親戚が住んでいる隣県の話をよくしていた」という情報も得られました。

さらに、「最近になって急に高級車を売却し、軽自動車に乗り換えていた」という目撃情報もありました。これらは全て計画的な財産隠しの証拠と考えられました。

隣県での追跡調査

限られた手がかりでの捜索

元従業員からの証言をもとに、隣県での調査を開始しました。しかし、「親戚がいる」という漠然とした情報だけでは、具体的な居住地を特定することは困難でした。

調査員2名は隣県の主要都市部から調査を開始し、住民票の移転記録、賃貸契約の有無、公共料金の契約状況などを可能な範囲で調査しました。

「隣県といっても相当な広さがあります。手がかりの少ない中での調査は、まさに針の穴を探すような作業でした」

不動産業者からの重要な情報

調査開始から2日目、ついに有力な手がかりを掴むことができました。隣県の不動産業者の一つが、該当する人物の賃貸契約について心当たりがあると連絡してきたのです。

「身元保証人なしで現金一括払いの契約を希望する人物がいて、印象に残っていました。年齢や外見的特徴が一致していたため、可能性が高いと思われます」

ただし、不動産業者も個人情報の取り扱いには慎重で、詳細な住所までは教えてもらえませんでした。それでも、ある程度エリアを絞り込むことができました。

現地での張り込み調査

エリアが特定できたことで、現地での本格的な調査を開始しました。対象エリア内の賃貸物件を一つずつ確認し、債務者と思われる人物の出入りを監視しました。

調査員2名が朝夕の時間帯を中心に交代で張り込みを行いました。深夜から早朝にかけては監視が困難なため、債務者の外出が予想される夕方から夜間に重点を置いた調査体制を取りました。

「このような調査では、忍耐力が最も重要な要素です。相手は発見されることを警戒しているため、外出頻度も限定的で、行動も慎重になっています」

翌日も同じ時間帯に外出することを確認し、行動パターンをより詳細に把握しました。外出は主に夕方の決まった時間で、コンビニエンスストアでの買い物が主な目的のようでした。

ついに発見した瞬間

調査開始から4日目の夕方、ついに債務者と思われる人物を発見しました。夕方の時間帯に、アパートの一室から出てきた中年男性の後ろ姿が、写真で見た債務者の特徴と一致していました。

調査員は慎重に距離を保ちながら後を追い、コンビニエンスストアでの買い物時に正面からの確認に成功しました。

「間違いありません。写真と完全に一致していました。ようやく見つけることができたという安堵感と、ここからが本当の勝負だという緊張感が同時に襲ってきました」

債務者発見と依頼者への報告

慎重な発見報告

債務者の居住地と行動パターンが判明した後、すぐに依頼者に報告を行いました。

「ついに見つかりました。間違いなく本人です。ただし、接触のタイミングと方法については慎重に検討する必要があります」

私たちの役割は対象者の発見までです。その後の接触や交渉については、債権者である依頼者自身が行うのが筋です。探偵には逮捕権限もありませんし、強制的に引き留めることもできません。

依頼者の現地到着と作戦会議

依頼者は報告を受けてすぐに現地に向かいました。到着後、債務者の行動パターンと接触のタイミングについて詳細な打ち合わせを行いました。

「相手は警戒心が非常に強く、調査に気づかれれば再び逃亡する可能性があります。一度きりのチャンスだと思って臨んでください」

債務者の生活パターンから、夜間のコンビニエンスストアからの帰り道が最も接触しやすいタイミングでした。人通りが少なく、相手も油断している可能性が高い場所です。

依頼者による直接対峙

翌日の夜、ついに対峙の時が訪れました。調査員2名は離れた場所から見守り、依頼者が一人で債務者に声をかけました。

「○○さんですね。お話があります」

債務者は依頼者の顔を見た瞬間、明らかに動揺し、逃げようとしました。しかし、依頼者が「逃げても無駄です。あなたの居場所はもうわかっているんですから」と冷静に告げると、観念したような表情を見せました。

最初は「人違いです」と言い張っていましたが、依頼者が具体的な取引内容や金額を挙げると、もう隠しきれないと悟ったようでした。

債務者の告白と謝罪

しばらく沈黙を続けていた債務者でしたが、やがて観念したように話し始めました。

「申し訳ありませんでした。資金繰りに行き詰まり、返金が不可能だと感じて逃げました」「会社の状況は数ヶ月前からもうダメだとわかっていました。でも、どうしても必要な運転資金があって...本当に申し訳ないことをしたと思っています」

依頼者への謝罪の言葉もありましたが、返済の目途は立っていないとのことでした。この会話は依頼者の了解を得て録音により記録し、後の交渉や法的手続きのための証拠として保全しました。

調査員は終始離れた場所から状況を見守り、万が一債務者が逃走を図った場合に備えていましたが、幸いそのような事態にはなりませんでした。

弁護士による法的措置と解決

法的手続きの開始

債務者の所在が確認された時点で、依頼者に信頼できる弁護士を紹介し、法的な手続きを本格化させました。債務者本人に直接的な返済能力がないことが明らかだったため、他の方法を模索する必要がありました。

弁護士による詳細な財産調査の結果、関連会社との間で不自然な取引があったことが判明しました。破産直前に大量の商品を格安で売却するなど、通常では考えられない取引が行われていたのです。

関連会社との交渉

弁護士が関連会社と交渉を行った結果、相手方も事情を理解し、最終的には協力的な姿勢を示してくれました。関連会社としても、このような問題に関与したと思われることは企業イメージに関わる問題だったため、早期解決を望んでいたようです。

全額回収の実現

約3週間の交渉を経て、関連会社からの支払いにより、1,200万円の全額回収が実現しました。調査開始から解決まで約5週間という期間でしたが、依頼者にとって満足のいく結果となりました。

「まさか全額回収できるとは思っていませんでした。探偵さんに依頼して本当に良かったです。おかげで会社も従業員も守ることができました」

依頼者の安堵と感謝の気持ちは、私たちにとって何よりの報酬でした。

債権回収調査から学んだ教訓

意図的に隠れる相手への対応の困難さ

今回のような債権回収案件では、債務者が意図的に所在を隠すケースが多く、調査の難易度は極めて高い傾向にあります。

通常の人探し調査とは異なり、相手は発見されることを極力避けようとします。住民票の移転を行わない、携帯電話を解約する、SNSアカウントを削除するなど、あらゆる手段で痕跡を消そうとするのです。

「債務者の中には、海外に逃亡するケースもあります。そうなると調査は格段に困難になり、回収の可能性も大幅に下がってしまいます」

探偵の適切な役割分担

今回の調査では、探偵と依頼者の役割分担が明確だったことが成功の要因でした。探偵の役割は対象者の発見と行動パターンの把握まで、その後の接触や交渉は依頼者自身が行うという原則を守りました。

もし探偵が直接接触して債務者が逃走した場合、責任問題となってしまいます。また、探偵には逮捕権限もないため、強制的に引き留めることもできません。依頼者が当事者として直接交渉することで、より効果的な結果を得ることができました。

法的措置との連携の必要性

単に「居場所がわかった」だけでは解決には至らず、最終的には法的措置が鍵となります。

探偵による調査はあくまで事実確認と証拠収集が主体です。その後の交渉や法的手続きについては、弁護士など法律の専門家との連携が不可欠になります。

「調査と法的措置の両方をスムーズに進めることで、依頼者にとって最良の結果を得ることができます。そのためには、信頼できる弁護士とのネットワークも重要な要素です」

同様の金銭トラブルでお困りの方へ

様々な債権回収調査への対応

今回のような法人間の債権回収に限らず、様々な金銭トラブルの調査に対応しています。

慰謝料の支払いを拒否し音信不通になった元配偶者の所在調査では、離婚後に転居を繰り返し、勤務先も頻繁に変更する相手を追跡する必要があります。感情的な対立が背景にあるため、相手も必死に逃げようとします。

借金を踏み倒して失踪した元友人・知人の捜索では、個人的な関係を悪用した詐欺的行為が問題となります。信頼関係を利用してお金を借りたにも関わらず、返済時期になると姿を消すという悪質なケースです。

金銭を持ち逃げして逃げた婚約者・交際相手の調査では、結婚詐欺の可能性も視野に入れた調査が必要になります。結婚を前提とした交際中に金銭を要求し、その後音信不通になるという手口が増加しています。

早期相談の重要性

どのケースにおいても共通して言えるのは、時間の経過とともに調査は困難になるということです。相手が本格的に身を隠してしまう前に、早めの行動を取ることが成功の鍵となります。

「1週間の差が、調査の成否を分けることもあります。『もう少し様子を見てから』と思っているうちに、手遅れになってしまうケースを数多く見てきました」

諦める前に専門家への相談を

「泣き寝入りするしかない」と感じた時こそ、専門の調査機関にご相談ください。

多くの方が「お金を取り戻すのは無理だろう」と諦めてしまいますが、適切な調査と法的措置により回収できるケースは決して少なくありません。重要なのは、早期の行動と専門的なアプローチです。

当探偵事務所では、債務者の所在調査から証拠収集まで、専門的な技術と豊富な経験でサポートいたします。また、必要に応じて信頼できる弁護士もご紹介できます。

お困りの方は、まずは一度お問い合わせください。時間が経つほど回収は困難になります。早急な行動が解決の鍵です。

私たちは依頼者の正当な権利を守り、悪質な債務者に適切な責任を取らせることが使命だと考えています。一人で悩まず、ぜひ専門家の力を活用してください。

※プライバシー保護の観点から、依頼者の属性(年齢・性別・職業・住所)や依頼内容につき、一部変更を加えています。

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